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2009年10月10日 (土)

親と子の距離

昨日、絢香さんが出演していた「A-studio」という番組、面白かったなあ。

僕は、この番組を初めて見たのだが、ちょっと心に残る映画を見たり、小説を読んだ後に受けるような軽い衝撃を受けた。

 

歌番組ではなくて、トーク番組なんですね、コレ。

   

雑誌やネット上に掲載されるインタビューは、どちらかというと「型にはまった」やりとりで、似たような受け答えが多いのだが、この番組では、人間「絢香」を少し垣間見ることができたような気がして、とても新鮮だった。

鶴瓶さんの巧みな司会が、シリアスになりがちな場面でも重くさせ過ぎず、また一方で、軽薄にもさせない絶妙なバランスを保っていた。

   

 

バイオリンの玲子さんや、プロデューサーなどスタッフの方々の話も興味深かったのだが、昨日の話を聞いていて、僕が一番心に引っかかったのは、母親との関係だったな。

 

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「絶対辛いこと言うたこと無いんやろ。」と鶴瓶さん(以下「T」)。

「無いですね。やっぱり17で送り出してくれているということがあったので、あまり心配かけたくなかったんですね。あとは、仲良し過ぎてちょっと照れくさいというか・・・。よく会うんですね。東京にも遊びに来てくれるし、ライブがある度に。だけど・・・」と絢香さん(以下「A」)。

T「そこは触れないねん。」

A「なかなかそういう話ってできなくって。なんかこう、『元気にやっているよ』という電話だったり、たまに帰って何でもない話をしたり・・・。」

T「雑誌のインタビューなんかでは、そういうこと(心境や苦労したことなどを)ちゃんと言うやん。そしたら見るたびに、もう、号泣するねんて。こんな辛い目に遭ったんかとか言うて。」

T「お母ちゃんをインタビューしててな、ひとつこんな事があったんやて。絢香が帰ってきて、『これ、私が帰ってから聴いて』って言って、MDを渡されたんやて。何やろなと思って、絢香が家で寝ているときに、こそっと聴いて・・・」

A「うそ」

T「聴いたんやて。そしたら、もう、声殺して泣いたって。それがグンナイベイベーという歌なんやけど・・・。」

・・・

A「母とか、父もそうなんですけど、曲に対しての感想って直接あんまり言わないんですよ。だから、今のも初めて聞いたので、ちょっと『あー』と思いましたね。」

T「これは、両親のことを書いてんのね。」

A「そうですね。やっぱり一番近くで、でも、黙って見守ってくれていた人なので・・・、いや~(深いため息)」

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この話を聞いていて、何か不思議な感覚になった。

この距離感は、どこかで感じたことがあるような・・・。

  

 

あっ、そう言えば、この間読んだ「太郎物語」。

僕の愛読書、曽野綾子さんの「太郎物語」にも似たような関係を表現していたところがあったなあと思い、今日の午後もう一度読み返した。

状況は異なるが、親に心配をかけないよう核心には触れないという点で、同じような距離感を表現している箇所がある。

   

例えば、次のようなシーンがある。

主人公「太郎」に黒谷という友人がいる。黒谷の両親は、仕事の都合上、突然転勤を余儀なくされた。息子一人東京に残していくわけにはいかないので、監督兼炊事の面倒をみさせるため知人を同居させる。ところが、そのカントクは、何の役にも立たないどころか、逆に黒谷が面倒を見ているような状況になっていた。
その様子を見た太郎は、この状況を知ったら黒谷の両親は、憤慨するだろうが、都合の悪いことは親たちには知らせなければいいのだと思うのだった。太郎自身も親を本当に心配させるようなことは何も言わなくなっていた。

それから、次のようなシーンもあった。

体調を崩した母がなかなか病院に行こうとしないのを、行くように説得した後に「世話をやかせる」と太郎は思う。その時、親から見れば、子供が世話をやかせるのだと思っているのだが、親に手をやく子どもだってけっこういると、つまり子供が気を使って、大人を演じていることもあるのだと思うのだった。

   

もっと他にもビタッと当てはまるシーンがあったように思ったのだが、大急ぎで読み返したので、見つけることができなかった。

  

一体、何を言いたいのか分からなくなってきたが、親と子の距離について考えさせられた昨日今日だったなぁ。ちょうど今日は、参観日だったし・・・。

  

番組を見ていて、もちろん絢香さんは素敵な人と思ったのだが、それ以上に、ご両親が凄いなあと・・・。

  

そうなんだよね。子供は成長すると、何でもかんでもは、親に話さなくなる。

離れていく。

それが正常だと思う。

 

僕の周りに、「ウチの20歳の娘は、今まで離れていったことがない」とか、「今でも中学生の娘と一緒に風呂に入っている」などと自慢気に話す方がいる。それを聞くと、僕は「不健全だ」と思わずにいられないんだよね。

自慢すべき話ではなくて、恥ずべきことのような・・・気が・・・するんだけど・・・。

  

 

絢香さんは、「心配をかけたくない」とか「照れくさい」ということを言っていたけど、その感情に加え、別の心理が働いているように思うんだよな。何だろう。

 

「これまでに固まった親子の距離感を壊せない」ということもあるんじゃないかな。

そこには、長い時間をかけて作られたバランスが存在する。

  

 

「心配をかけたくない」という気持ちは、実は、親に心配をかけさせないことで、「子離れ」を促すという要素もあるような気がしてきた。

  

それにしても、子供を持つ親としては、「黙って見守る」って考えるだけで、しんどいよね。そして、間接的に子供の状況や心境を知って、それでも黙っている・・・。強いわ。

   

できるかな?俺。

  

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コメント

こんばんは!
実は、私も初めてこの番組を観ました。流石、師匠だな~「家族に乾杯」をよく観るのですが、人間のちょっとした心の機微をうまく引き出す。しかも、無理しないし。
やっぱり、「親子」って「親」あっての「子」なんだな~と、再確認しました。

投稿: おんばと | 2009年10月11日 (日) 21時34分

おんばとさん、こんばんは。
家族に乾杯・・・NHKの番組なんですね。
私は、こちらも見たことがありません。
番組のHPを見たところ、面白そうなので一度見てみようかな。
一つ、思い出しました。
絢香さんが、北海道のFM番組に出演したときのこと。
パーソナリティが、どのように育てられたら、あなた(絢香さん)のような素敵な人になるのか尋ねたところ、両親は、何も言わない代わりに、自分で考えて決めるように言い聞かせたそうです。
何だか、A-studioの話との繋がりますよね。

投稿: こーへー | 2009年10月11日 (日) 23時39分

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